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Vol.22 |
「SLあきた路号」 |
C61 20号機 |
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今年も秋田の鉄路にSLが還ってくる。
昨今は鉄道がブームで、全国各地でSL列車の運転が人気を呼んでいるが、秋田県内で3年連続してSLが走るのは非常に珍しく、大変貴重なことと言える。
一昨年の秋田~東能代間、昨年の秋田~横手間の運転に続いて、今年は10月18・19日の二日にわたって秋田~東能代間で運転される。
言うまでもないことだが、電気機関車やディーゼル機関車と違って蒸気機関車は、車両の前と後ろがはっきりしている鉄道車両なので、終点まで走って折り返す時は車体の向きを変えなければならない。SL全盛時代には、向きを変えるための設備「転車台」が主要駅には備わっていたが、時代のすう勢で撤去されたところが多く、結果として、SLの復活運転をするにしても、転車台の残っている駅間に限定されてしまう。それで、秋田県内では、秋田、東能代、横手のいずれかの駅を結ぶ区間での運転ということになる。
秋田駅周辺では、かつては駅裏の秋田機関区や、秋田操車場(現秋田貨物駅)にも転車台はあったが、現在は秋田市楢山の車両基地にあるのみで、東能代や横手から戻ってきたSLはここで向きを変えて翌日の運転に備える。
SLといえばD51(デゴイチ)が鉄道ファンでなくてもよく知られており、かつてのSLイベント列車の運転はもっぱらD51 485号機が担っていたが、なにぶん古い車体を酷使して走らせているので故障が発生すると修繕に時間がかかり、もう一両走らせられるSLが必要ということから、群馬県伊勢崎市の公園で30年以上に渡って静態保存されていたC6120号機に白羽の矢が立って、2011年に復活を果たしたものだ。
動輪が4軸あるD51は、本来は、速度よりも馬力重視の貨物列車を牽引する目的で設計されている。一方動輪が3軸のC61は、馬力よりも高速性重視の旅客列車仕様の設計だ。その意味でも客車を牽く姿はやはり様になっている。
二日間の本運転に先立って、直前の5日間ほど、同じ区間、同じダイヤで試運転が繰り返される。10月の第三週は、古き良きSL列車の情緒を思い切り堪能したいものだ。 |
(文・写真/加藤隆悦) |
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