文化遺産
Vol.33
秋田マリーナ[あきたまりーな]
秋田市飯島堀川

 個人的な思いを述べさせていただけるなら筆者は、日本が原発への依存から脱却する方向を目指してもらえないものかと、願っている。
 それを強く思ったのは、青森県で行われている原子燃料サイクルに引っかかるものを感じたからだ。こまかいことは割愛するし、筆者の認識に誤りがあるかもしれないが、いずれ、事業の一つは、原子力発電所で発生する低レベルの放射性廃棄物を300年間に渡って地中に埋設し管理するという説明であったと思う。
 300年経てばまったく無害なものになるという意味だと思うのだが、筆者は、「人畜無害なものにするには300年もの時間を要するのか」と、驚いたのである。
 300年後といえば、今生まれたばかりの子どもでも生きてはおらず、孫でもひ孫でもなく更にその2、3代先の時代だ。つまり、今生きている人たちが自分たちの生きているうちには始末をつけられず、直接的な申し送りすら出来ない未来の人たちに「あとは任せたよ」と下駄を預けてしまっているようなものではないのか。
 人のけじめとして、何か厄介なことがあったら、自分の生きているうち、あるいはせめて、信頼のおける者にあとを託して、始末をつけるべきではないのだろうか。300年も先の子孫に厄介なものを押し付けるというのは、“祖先”としてなんだか申し訳ないような気持ちになってしまうのだ。
 風力発電にしても太陽光発電にしても地熱発電にしても、いいことずくめというものではないだろうが、まずは原発との訣別、というわけにはいかないものだろうか。ドイツではなぜそれが出来たのか、知りたいところである。
 秋田県は風力発電の好適地なのだそうで、これからも風車のある風景は増えていくことだろう。せめて秋田には、日本のクリーンエネルギーの先進地になってほしいものだ。
(文・写真/加藤隆悦)