会長の言葉

商工会法 施行50周年 会 長 菅原 三朗

 昭和35年(1960)に商工会法が施行されてから今年で50周年という記念すべき節目の年を迎えた。当時、我国はまさに高度成長幕開けの時代であった。総合経済団体として大都市には商工会議所が以前からあったが、この商工会法の施行により町村地域の商工業の総合的な改善発達を図る「総合経済団体」として、商工会は先頭に立って会員である地域の中小企業とりわけ小規模企業を対象に経営改善の指導支援や金融斡旋につとめるとともに、行政ともタイアップした商店街の振興や、まち興しなどの地域活性化にも積極的に取り組むなど、商工会法制化の使命と役割を果たしてきたところである。
 しかしその後のIT革命やモータリゼーションによる商圏の拡大など大きな変革の時代を迎え、とりわけ平成13年(2001)以後はグローバル化に伴う、竹中構造改革により財政再建政策のため大幅な歳出の削減や抑制をはじめ、アメリカの新経済政策に盲従し各種の大幅な規制緩和や、野放しの市場原理主義による経済競争が行われ、強い者が勝って弱い者が負けるのがあたりまえという、間違った格差社会となってしまい都市と地方、市街地と周辺部との格差が益々拡大し歯止めのかからない過疎化・少子化とあわせて、地域コミュニティや生活基盤の崩壊など地方の社会・経済の疲弊は深刻な問題となっている。
 このような状況に対応していこうと、県商工会連合会では、広域指導体制の確立のため、平成12年より商工会の合併を推進しこれ迄県内62商工会が21商工会となり、市町村の数より少なくなっている。又県連全商工会の人事の一元化や、人事交流の推進による職員の資質の向上につとめ、会員に対する一層の支援機能の強化と商工会の事業・組織運営の効率化を推進しているところである。


 又商工会法施行50周年の記念事業として、全県商工会が「エコ宣言」を行い環境にやさしい職場づくりと地域の環境保全活動を積極的に推進していくため、昨年度「あきた環境優良事業所認定」を取得し、地域の環境保全に配慮した身近なエコ活動を実践しながら、会員さらにはその従業員・家族へと県民運動的な気運を高めていくこととしている。
 更にエコ活動のシンボル的な事業として、県が創設した「企業・団体による森づくり」制度に協賛し「商工会の森」づくりプロジェクトを創設。これにより地域の環境保全や地域活性化への貢献とともに、秋田県の自然エネルギー自給率の向上に資することを目的に、秋田の自然と産業の共生を目指している。
 我々は今こそ立法当時の精神・原点に立ち帰り、半世紀に亘る先人の経験を糧として今後とも地域の中小・小規模企業の育成・支援はもとより、疲弊した地域経済の蘇生と健全な地域社会の維持・貢献のため、一致団結して商工会活動を強力に展開していくことが使命となっている。