活動報告

秋田県執行部と懇談
予定価格の事後公表等を提案
 

 秋田県議会建設振興議員連盟(北林康司会長)と県協会では、3月5日、秋田県議会大会議室において、秋田県執行部との懇談会を開催した。
 同懇談会に先立ち、2月9日に、議員連盟と協会役員との懇談会を開催しており、その結果を4項目の要望・提案事項として提出した。
 秋田県からは、堀井副知事、加藤建設交通部長をはじめ幹部17名が参加し、要望・提案事項についてそれぞれの担当官から回答を頂いた後、意見交換を行った。

要望・提案事項及び秋田県回答の要旨は次のとおり

1. 秋田県に必要な社会資本整備の推進について
 現在の地方の疲弊・格差拡大の大きな要因の一つは、公共事業全体を一律無差別に削減し続けたことであり、整備の遅れている地方ほど大きな被害を被った。
 国の平成22年度予算では、新政権の「コンクリートから人へ」のスローガンの下、公共事業費大幅削減が打出されているが、これまでのような全体の一律削減をやめ、時代に合わない国の大型工事の見直しなど適切な選択により、地方の再生と格差是正を図るべきと考える。
 本県におけるインフラ整備は、安全で快適な生活を営むためには、いまだ充分とは言えない状況にある。真に必要なインフラ整備の推進について特段のご配慮をお願いする。

(秋田県回答要旨)
 無駄を省くことには賛同するが、質・量とも地域によってさまざまであり。全国一律の削減には賛同できない。
 地方の経済や雇用をはじめとした県内経済を下支えしていくため、厳しい経済状況にあっても、一定の事業量を確保する必要がある。
 平成22年度予算案では、県単独事業の増額により、国直轄事業負担金を除き、21年度補正予算による前倒し分を含めた実質事業費ベースで、前年度当初予算を上回る事業量を確保することとしている。

2. 入札契約制度の適正化について
 本会は、機会あるごとに建設業界の窮状を訴え、「入札・契約制度の適正化」について秋田県へ要望・提案を申し上げてきたところである。
 これらにご理解を賜り、秋田県では、平成19年10月、平成20年10月、平成21年6月と低入札対策を実施していただいたことに深く感謝申し上げる。引き続き、県内企業が継続・維持できる環境づくりにご尽力下さるよう切にお願いする。
 また、予定価格の事前公表が、低入札基準価格への集中を招いていることから、事後公表をご提案するとともに、建築工事の発注においては、現在行われている内訳数量の拡充をお願いする。

(秋田県回答要旨)
 秋田県では、公共工事の品質確保や建設業の健全な発展に資するため、最低制限価格の引上げ等の総合的な低入札対策を実施した結果、現在の平均落札率は90.4%となており、一定の効果が表れたものと認識している。21年度においても最低制限価格等設定水準の引上げ、低入札受注の繰り返しに対するペナルティ措置を講じることとしたところであり、今後はこれらの実施状況を検証しながら、建設業の経営改善等に向けた必要な対策を実施していきたい。
 予定価格の事後公表については、他県での移行・試行の事例の効果や動向を注視していきたい。
 建築工事については、受注者と協議の場を設けお互いの認識一致のなかで問題点を洗い出し、今後につなげていく作業を行うこととする。

3. 円滑な現場施工のための環境整備について
 昨今の受注環境において、それぞれの企業が従来の経営スタイルで適正な利益を確保し存続していくことは極めて厳しく、技術力、施工力、経営力等経営改善や生産性向上による更なるコスト縮減など、施工管理体制の強化が不可欠となっている。
 受発注者間の諸問題及び協議等に際しては、ものづくりを支えるパートナーとして双方がその責務・役割を共有し、迅速且つ適切な判断の下、現場施工が円滑に推進されるよう更に環境整備を図ることが重要である。
 ついては、ワンデーレスポンス、三者会議等の対象の拡大をお願いする。

(秋田県回答要旨)
 ワンデーレスポンスは、工事の品質確保や、コスト縮減につながるものとして、平成20年度から取り組んでおり今年度は225件実施している。
 三者協議については秋田県では工事施工調整会議として平成20年度から取り組んでおり、今年度は30件実施している。どちらについても、対象工事を拡大していくこととしている。

4. 地域社会における基幹産業としての役割について
 本会では県と災害協定を締結しており、震度5以上の地震や津波、豪雨その他異常な自然災害が発生した場合は、自主的に担当収集区域の被災情報の収集を行うことが定められている。
 このような役割を果たすためには、災害発生時においても継続して事業活動が出来る体制になければならず、本会では災害時に会員の被害を最小限に抑えるとともに事業の中断を出来る限り短縮するために必要な「事業継続計画(BCP)」の策定を事業計画に掲げ、周知・普及を図るとともに実効ある同計画の策定を目指しているところである。
 また、応急復旧活動に迅速かつ的確に対処すべく自主的な活動の一環として「GPS携帯による災害支援システム」を活用した情報収集訓練を行っている。同システムは、災害の状況を視覚的に正確に把握できるのが特徴で、災害時の情報収集ツールとして非常に有効である。現在、同訓練は自主的活動の位置づけであるが、今後は災害時において秋田県と情報共有を図っていきたい。

(秋田県回答要旨)
 良質な社会資本整備、迅速な災害対応等及び地域経済・雇用の下支えのため、技術力と経営力に優れた地域企業の確保は必要と考える。
 このため、建設業が地域の基幹産業の一つとして存続できるよう、今後の取り組みとして、企業合併を含めた経営力・技術力の強化、農業・福祉・環境・エネルギーなど新たな活動領域の拡大に向けた環境整備を推進することとしている。
 また、貴協会が県との災害協定に基づいて昨年から取り組んでいる「GPS携帯による災害支援システムを活用した情報収集訓練」は、災害に対する危機管理の一つとして、県としては誠に心強く感じており、災害支援システムの万全な構築に向け、貴協会と連携して対応してまいりたい。




22年度公共工事設計労務単価
秋田県 主要職種で前年比平均97.1%
 

 国土交通省は、同省及び農林水産省及が平成21年10月に実施した公共事業労務費調査に基づき、平成22年度当初からの公共工事の工事費の積算に用いるための公共工事設計労務単価(基準額)を決定、3月30日に公表した。
 東北6県における主要職種の労務単価・前年比は表のとおり。資料掲載先:国土交通省ホームページ・報道発表資料
http://www.mlit.go.jp/report/
press/sogo14_hh_000130.html
(問い合わせ先:国土交通省総合政策局建設市場整備課)




人材確保・育成協議会を開催
高校教員建設技能講習支援事業(仮称)の創設
 
 県協会では、平成22年2月23日(火)秋田ビューホテルにおいて、平成21年度秋田県建設産業人材確保・育成推進協議会(会長・川上洵秋田大学工学資源学部教授)を開催した。
 協議会には、業界や行政機関、教育機関の代表者などを含めた14名が出席。
 初めに、人材確保・育成推進協議会川上会長は、「建設産業は昨年度、大荒れで深刻な状況となっており、「コンクリートから人へ」ということで地方経済に大きく影響している。建設業におけるGDPは1992年のピーク時が17.4%だったのに対し、2009年は8.9%と半分に落ち込んでいる。また、建設業に占める労働力人口も1997年の690万人から2009年には526万人になり最盛期の77%になっている。このような現状をもとに、建設産業人材確保・育成推進協議会の中で現状の報告をしていただくとともに、短期的な課題と長期的な展望についてご意見を伺いたい」とあいさつ。
 引き続き協議事項に入り、21年度新規学卒者採用状況や22年度4月新規学卒者採用内定(予定)調査結果、21年度の雇用改善推進事業活動状況が報告された。また、22年度雇用改善推進事業実施計画が事務局より説明され、その中で、今年度新規事業の「建設系高校政特別支援モデル
事業」について、ローダーとバックホーに限定し夏休み期間を利用し講習を実施し、述べ13日間に渡り191人が参加したことを報告。学校側から機械の受講科目の充実、実技講習の機械・講師の増加、1校単位での講習実施の要望が挙げられた。これを受け事務局では、予想を上回る生徒の参加があり、ローラー等の受講希望者が多かったので、募集条件を「3年生で、県内建設業への採用が決定または内定した者」とし、定員を20名以内で11月頃に実施することを検討するとした。
 また、教員からの強い要望による「高校教員建設技能講習支援事業」(仮称)の創設案が事務局より提案された。高校教員は従来、全国建設産業教育訓練協会の富士教育訓練センターで受講してきたが、経費面の負担、遠隔の地にあることによる日程調整、教育予算の大幅な削減等で断念せざるを得なくなっている。そこで、高等学校の夏季休暇期間中に協会会員企業等の事業所等において高等学校教員を対象に鉄筋や型枠などの技能訓練を2〜3日間にわたって実施する計画とし、測量協会と教員側からメニューを出して詰めていくとした。
 総括として堀江委員から、「ここ数年会員企業が減っている中で、年々新規採用者が増えていることは大変喜ばしいことである。入札参加に対する加点評価により企業側が若年者を新規採用し活性化しようという努力が数字に表れている。来年度の先生への技能講習支援事業についてもカリキュラムを作って詰めていきさらに教育側を我々企業側に実りあるものにしていきたい」とまとめた。



公共事業批判を糾し、社会資本整備の重要性を訴える
平成21年度リーダー研修会
 
 3月23日、秋田ビューホテルを会場に秋田県建設青年協議会(大沼武彦会長)による平成21年度リーダー研修会が開催され、会員32名が参加した。
 今回の研修会では、講師に高橋定雄氏(財団法人ダム水源地環境整備センター 技術参与)を招き、「社会資本整備の意義と重要性を考える」と題して講演が行われた。
 高橋氏は講演の冒頭、「ここまで公共事業を疎んじて本当にこの国は大丈夫なのか。このままでは輝かしい土木の技術も建設業界もこの日本から消えて無くなってしまうのではないか」との問いを投げかけ、「そうなってからでは遅い。今こそ、公共事業に対する誤解あるいは誹謗中傷、そういったものに対してきちんと反論していくべき」と訴えた。
 また、「口先だけでなく、データを示して堂々と反論、社会資本整備の重要性について世の中に訴えていく事が大事」と述べ、公共事業の何が批判されているか、どのような誤解が蔓延しているか、そして、財政・経済・産業各種のデータを提示して、それぞれの批判がいかに謂われのないものであるか、建設業界が声を挙げていくためのヒントを説いた。
 講師の高橋氏は昭和48年に建設省採用。関東地建利根川上流工事事務所から始まり、平成13年に東北地方整備局湯沢河川国道事務所長、17年に中国地方整備局河川部長、18年に大臣官房 技術調査官と数々の役職を歴任。平成20年12月に国土交通省を退官し、平成21年2月より現職。
 著作として「いわれなき公共事業批判を糾す」(平成21年・建設人社 刊)を出版。公共事業・社会資本整備に対する根拠のない批判に対する反証を展開している。