会長の言葉

事業継続計画策定と情報収集訓練 会 長 菅原 三朗

  地域社会における建設産業の役割として、地域住民の生命と財産を守り、安全で快適な社会創造に寄与するのはもとより、災害が発生した場合には、行政等からの要請に応えるとともにいち早く現場に駆け付け、迅速に応急復旧を行うことやライフライン等の復旧を通じ、安全かつ安心な住民生活を取り戻すことが求められております。
 このような社会的使命を果たすためには、企業自らが継続して事業活動ができる体制になければならず、平常時から行うべき対策と災害時に取るべき手段・方法を計画として定め、これを積極的に実践・見直しを行っていくことが必要であります。
 本会は、災害時に会員の被害を最小限に抑えるとともに事業の中断をできる限り短縮するために必要な「事業継続計画」(BCP:Business Continuity Plan)の策定への取り組みを平成21年度事業として掲げ、11月までに2支部において説明会を実施し、年度内に全支部への周知・普及を図ることとしております・同計画を策定し、会員のマネジメントサイクルとして定着させることは容易ではないと思いますが、地道に会員の自主的な取組みへサポートしていく考えであります。
 一方、本会は、平成8年東北地方整備局と東北建設業協会連合会、平成18年には秋田県、平成19年には秋田県と秋田県建設産業団体連合会─それぞれ災害時における応急対策に関する協定、いわゆる「災害協定」締結に参画、活動を行ってきております。
 秋田県との基本協定細目には、震度5以上や津波、豪雨その他異常な自然現象に災害が発生した場合は、自主的に担当収集区域の被災情報の収集を行うことが定められております。災害協定における応急復旧活動に迅速かつ的確に対処すべく自主的な活動の一環として、前述のBCP策定説明会と併せて「GPS携帯による災害支援システム」を活用した情報収集訓練を行ったところであります。ご出席をいただいた東北地方整備局の能代河川国道事務所担当官、北秋田・山本地域振興局幹部職員の皆様に感謝申し上げる次第であります。災害支援システムは、災害の状況(いつ、どこで、何が、どのような状況・対処が必要か)を携帯メールによる文字情報とGPS情報による位置情報、携帯電話のカメラで撮影した画像情報と併せ、視覚的に正確に把握できるのが特徴であり、災害時の確実な情報収集ツールとして非常に有効であります。
 同訓練は、自主的活動の位置づけでありますが、今後は管理者との情報共有やシステム構築の検討などに取り組んでいく所存であります。
 (社)群馬県建設業協会は、平成20年6月、「GPS携帯による災害情報共有システム」を構築しており、自主的かつ画期的な取り組みに敬意を表する次第であります。
 建設産業は、地域社会と共に存在してきた産業であり、今後とも地域社会と共に存続し続ける産業であります。
 地方建設産業の現状は、公共事業費の度重なる削減等により疲弊はしておりますが、存在し、社会的使命を粛々と果たしており、将来においても同様、無くなることは無いと確信しているところであります。地域社会にとって建設産業は、必要不可欠な基幹産業であるからであります。