会長の言葉

解説30周年の回顧 会 長 菅原 三朗

 現在私が理事長をつとめている、社会福祉法人昭和ふくし会が運営する特別養護老人ホーム「昭寿苑」が開設30周年を迎え10月31日記念式典が挙行されました。
 「昭寿苑」は地域における要介護老人の入所施設として、定員50名で昭和54年4月開設されました。初代理事長でありました杉山政雄先生の老人福祉に対する先見性と物心両面にわたる御指導・御支援と町当局をはじめ関係者の御協力によりまして当時としては県内でも最も早い時期の開設でありました。
 以来今日迄、歴代の役職員をはじめ関係者の御盡力により、施設サービスの先導的拠点として実績をあげるとともにその使命を果たしてきたところであります。
 当時高齢化社会が急速に到来する中で、産業構造や社会環境の急激な変化による世帯の核家族化の進展や扶養意識の変化などにより、老人の生活や介護にも様々な問題が多発をするようになり、もはや老人や家族だけでなく社会全体の問題として受け入れていかなければならなくなりつつありましたが、しかし介護施設に入所することにはまだ世間の目を憚って抵抗を感じておった時代であり、今日のように入所待機者が多くいる状況からは、まさに隔世の感があります。
 その後平成2年には福祉八法の大改正が行われ、住民の福祉はその人の住んでいる市町村が全責任を負うという、市町村主体型の地域福祉・在宅福祉へと移りましたが益々進む要介護老人の増加に対応し、秋田県でも一町村一施設設置が進められ平成11年に完了しておりますが、今年「昭寿苑」が開設30周年を迎えることは高齢化社会を見据えた対応の早さが伺われるところであります。
 近年の超高齢化社会の進行に伴い平成12年からは社会全体で支えていこうと、公的介護保険制度が導入実施され、入所者の処遇も措置から契約へと理念の大転換もありました。又社会福祉の基礎構造改革では施設経営にも市場原理が導入され、新たな経営戦略が求められる時代となりました。
 「昭寿苑」は昨年、居室等増改築工事及びスプリンクラーの設置工事を施工し、各所改修とホールの拡張など入所者のより安全でより快適な居住環境の整備を図ると同時に、職員にとってもより快適な職場づくりに努めたところであります。
 開設30周年の節目を契機に、新たな時代のニーズに対応しながら地域福祉サービスの拠点として、一層その真価を発揮するためにも今後とも役職員一丸となって更なる研鑽につとめ、一層の情報公開と福祉施設としての評価を確立していかなければならないと思っております。