会長の言葉

ハッピーネット 会 長 菅原 三朗

 ハッピーネットは、潟上市自殺予防推進連絡会の通称である。本県の自殺率(人口10万人当たり)が一昨年迄13年連続でワーストとなる中で、昨年は405人で過去10年で最悪だった559人に比べ4分の3迄減少した。
 これは市町村やNPO法人など各種団 体・機関が、相談機能の充実を図るなど自殺防止対策を継続的に推進してきたことが実を結んだ結果である。
 潟上市においても、過去年間20人内外の自殺者があり、一昨年潟上市自殺予防推進連絡会が設立された。行政や関係団体と連携を図りながら、生活に困難を抱えたり様々な悩みを抱え孤立している人についての情報を、いち早く収集することや色々な立場の人が連携して素早く介入できるシステムの構築を目的としている。
 又旧町単位にコーディネーターを配置し当事者の問題情報に対しては、行政担当者・保健所担当者・民生委員担当者等で本人への介入方針を打合わせ、2人以上で担当し対応して活動を行う。又当会で対応が難しい問題については、NPO法人蜘蛛の糸や県司法書士会等外部団体と連絡を図りながら、問題の解決に取り組んでいる。
 平成20年4月から平成21年3月迄の、訪問・相談活動は心の病気による不安、認知症・うつ病、多重債務、人間関係等のべ93件となっている。
 今年上半期(1〜6月)の全国の自殺者は17,076人で過去最悪だった2003年に近づくペースであるが、本県は前年と同じ223人である。年代別では働き盛りの30〜50代、動機別では経済・生活問題が増加していることが、県警生活安全企画課のまとめでわかった。全国の自殺者数が史上最悪ペースで推移する中、本県は前年同期と同数で踏みとどまっている形だが、このところの減少傾向に昨秋からの世界的不況が大きく影を落としている。
 これ迄民間団体の活動の成果もあって、07年08年と県内の自殺者は2年連続で減少し、自殺者対策は着実に実を結びつつあるが、一方で自殺率は引き続き14年連続で全国ワーストであり、継続的な自殺予防対策が欠かせない状況に変わりはない。今後とも自殺予防のための民間団体の活動の活発化と各分野の専門家を集めた予防体制を整えていくべきである。又活動には資金面の悩みもある。自殺予防に取組む民間団体の運営は、ほとんどが寄付やカンパに頼っているのが実態である。
 国は06年に自殺対策基本法を施行し、07年には自殺総合対策大綱を策定。今年5月には「地域自殺対策緊急強化基金」を設置した。予算は100億円で秋田県には1億3千万を市町村を通じて配分されることになっている。(事業を実施する市町村のみ策定)
 自殺は自ら選んだ死ではない。社会に追い詰められての死だ。政治の使命の根本は国民の命を守ることではないか。