会長の言葉

今後の商工会のありかた 会 長 菅原 三朗

 平成の大合併により、本県でも市町村合併が急速に進んだが、これに合わせ県内商工会の合併も推進をされてきた。これにともない人事の一元化をはじめ地域密着型支援体制の強化並びに、組織率の改善、行政等との懇談会の積極的開催等商工会の存在意義を高めるための自己改革を着実に推進している。
 このような中で商工会と商工会議所が併存している併存市(例えば秋田市には秋田商工会議所と河辺雄和商工会が併存している)が急増している。平成16年に全国で181であった併存市が平成20年には633となり全商工会の3分の1が併存しておる状況である。
 そのため商工会議所と商工会の合併とか、一行政区域一商工団体と言った議論がある。平成16年7月商工会法一部改正で衆議院経済産業委員会の付帯決議として、商工会議所と商工会の組織の今後のあり方について、合併のメリット・デメリットを含め当事者の自主的な議論が積み重ねられるべきであり、政府としても当事者間の議論や地域商工業者のニーズを踏まえつつ、所要の検討を行うこととなっている。
 これにもとづき日本商工会議所と商工会全国連合会では、共同研究会で協議を重ね平成17年3月報告書の中で、行政合併が進む中で商工会議所・商工会はそれぞれ地域の商工業の核として、地域に貢献をしていくために商工会議所は商工会議所同士で商工会は商工会同士で合併の推進を図るとともに、地域の実態と両団体の過去の歴史等を考慮すれば、現段階では両団体の合併に係る法整備を行うことについては慎重であるべきである。
 又両団体はサービス向上に向け相互の歴史の中で培われたノウハウや強みを提供しあい、補完することで地域の中小・小規模企業の立場を尊重した協力体制を築いていくことが大切である。これにより全国商工会連合会では平成17年3月及び平成20年11月の全国連臨時総会に於いて2回に亘り、商工会議所との合併は不要であるとの決議を行っている。
 しかしながら地方分権改革推進委員会において、平成19年9月一般的に商工会議所は組織率が低く、商工会は小規模で専門的機能の弱い団体が多い。このため商工団体の一元化に向けた新たな法整備が必要であり、地域の商工業者を代表する総合的な経済団体として、まちづくりへの参画や事業者への効果的支援の実現をはかるとしている。
 これに対し経済産業省は両団体の先の研究会報告にもとづき、合併等の当事者である両団体の議論を尊重し現段階において合併に係る法整備を行うことについては慎重であるべきとの立場である。
 それでも分権委員会は平成20年5月の第1次勧告において、商工会議所と商工会の一元化を含めた新たな商工団体制度を設けるなど、地域の商工団体のあり方について必要な検討を行い、平成20年度中に結果を得るとなっている。
 商工会としては今後も合併不要の立場から地域密着型の総合経済団体として、特に小規模事業施策に重点を置いた経営改善普及事業の推進により、地域のコミュニティ維持のため活動をしていくことが大切である。