文化遺産
No.77 (最終回)
小坂鉄道・小坂駅

鹿角郡小坂町小坂鉱山字古川

 明治42年(1909)、小坂鉱山 専用鉄道を譲り受けた小坂鉄道株式会社によって旅客営業が始まった。小坂鉄道は旅客や鉱物、木材を輸送したばかりでなく、外部からの新鮮な文化の架け橋にもなった。
 昭和32年(一1957)同社は同和鉱業(株)に吸収合併され、同37年には線路幅が762mmから国鉄(のちのJR)と同じ1067mmに拡大し、貨車の直通運転もできるようになった。
 平成6年(1994)経営の立て直しを図る鉱山の合理化によって、客車部門の廃止が決定。85年に及ぶ旅客営業の歴史を閉じた。さらにその後、平成20年に貨物輸送のみだった小坂線の全面的な事業休止が決定した。
  小坂駅の駅舎が古い名残を伝え残しているが、小坂町郷土館の敷地内に同じ駅舎が復元保存されている。建物は、木造、平屋建、和小屋、切妻造、鉄板葺、約64坪の面積である。郷土館 に復元された駅舎の外に、 大正5年(1916)に二、三等客車として造られたものを貴賓列車に改造された客車や11号蒸気機関車(ともに県有形文化財)なども保存展示されている。
(取材・構成/藤原優太郎)
※本連載は今回をもって終了させていただきます。長い間、ご愛読ありがとうございました。