会長の言葉

時事所感 会 長 菅原 三朗

 100年に一度の非常事態といわれ、政府は財政再建やプライマリーバランスの達成を一時棚上げして、ひさびさの財政出動による内需拡大をはかり景気浮揚につなげようと、二次補正に引きつづき新年度予算の審議中であるが早期の執行を望むとともに、国民の閉塞感を打破するためにも一刻も早い衆議院の解散総選挙の実施により、清新溌剌たる新リーダーの出現が待望されるところである。内需拡大政策の目玉が農業の再生やグリーンニューディール政策や福祉の充実等といわれるが、これ迄の構造改革の政策で多年に亘り痛めつけられてきたものが、この程度の財政手当で直ちに方向転換出来るとは思えない。負の遺産の後遺症は甚大なものがある。
 秋田での最大の問題は、急激に進む人口減少である。昨年1年間でも12,000人以上減少し、老年人口率が最高・年少人口率が最低を記録し少子高齢化が更に進行している。しかも問題なのは減るのはほとんど若い世代であり、一番の働き手・子育て世代の24歳から49歳であり、この若い世代で16万人くらいに減り、65歳以上の人口が増えている。このような現象がこれからも進むとみられ、このペースで人口減少が進むと2035年には、県の人口は78万人になってしまい明治32年に戻ることになる。その時の労働力人口は22万人減少するという。秋田県の総生産は4兆円であるが2035年には1兆円減って4分の3ぐらいに縮まるだろうといわれ、人口減少によって県内の経済活動も大きく損なわれる。それくらい人口減少のインパクトは大きい。一昨年8月発足した「秋田県定 住促進協議会」の実効ある活動を大いに期待したい。

  一方本県の自殺率(人口10万人当り)が一昨迄13年連続で全国ワーストであったが、昨年の自殺者は過去10年で最悪だった2003年の559人に比べ154人も減少した。市町村や各種団体・機関が相談機能の充実など、予防対策を継続的に推進してきたことが実を結んだものであり高く評価されてよいと思う。
 又本県の小学6年と中学3年生の全国学力テストで2年連続トップクラスの成績を収めたことは本当に喜ばしい快挙である。しかし寺田知事は文科省の実施要領に反して、県内25市町村の平均正答率を公表し市町村からの猛反発に会い、各市町村教育委員会は来年度の参加の是非を検討している。しかしそのような事よりも子供達の高い学力は進学率の上昇に繋がるものであるが、多くの若者が首都圏を中心とした県外に進学し、卒業後は県内に受け皿が少なく帰ってこないので、ますます人口が流出し若い活力が失われていくことの方が重大問題である。昔から秋田は若い人材の育成・供給県といわれてきたが、行政も県民もそのような優れた子供達が将来にわたって、地元で頑張れるような土壌づくりをどう進めていけばよいのかが、より重大な課題であることを認識すべきである。