湯沢市の羽州街道沿いにあり、市内の伝統的な町屋の中でも最大級の規模をもつのが藩政期から昭和まで呉服商を営んだ山内家である。山内家は、安永年間(1780頃)佐竹藩士山内市兵衛家から分家した御用商人の家柄であったという。
本住宅は7代当主の時の建築で、昭和7年、東京の建築士(秋田出身)の高堂徳治が設計し、同九年頃には竣工をみていたようだ。佐竹南家の城下町、外町南端の旧羽州街道沿いにひときわ目立つ商家造りとなっている。 主屋は、木造二階建、建築面積258.34平方メートルで、梁間5間半、桁行12間半の切妻造妻入二階建て、桟瓦葺の建物である。通りに面し梁を数段重ねた妻面や正面と側面に取り付けられた多くの庇などが精緻で変化に富む外観を形成。さらに瀬戸で焼かれた深緑の陶器釉薬瓦で葺かれた大屋根はこの地区では他に見られない珍しいもので大きな鬼瓦にも目を奪われる。内部もまた柱や梁など総じてケヤキ材をふんだんに使った重厚な造りとなっている。建物全体、簡素ながらも細部の部材にこだわりを見せる質実なものである。
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