活動報告

秋田県
2008新春講演会
地域再生と建設業の未来
 2月5日、秋田ビューホテルにて、秋田県建設業協会、秋田県建設産業団体連合会、秋田県建設青年協議会の3団体の共催で「2008新春講演会」が開催され、会員ら90名余りが聴講。「地域再生と建設業の未来」と題し、本県在住の東京商工リサーチ顧問荒谷紘毅氏が講演。景気の実態・建設投資の推移等のデータをもとに講演、地方が担う役割と可能性の観点から将来に向けての対応を示した。
 講演では始め、雇用・企業倒産の面からのいざなぎ景気(1965〜70年)と平成景気(2002年〜)対比、建設投資の推移を基に、建設産業の実態、地方では景気拡大が見られない現状について数字の裏付けがあること、かつてのいざなぎ景気では見られなかった現象があることを述べた。
 また、日米構造改革から独占禁止法までの歴史的経緯を踏まえ、日本経済における海外からの関与、建設業が外資との競争にさらされていく可能性、将来像に危惧を見せた。
 終盤では、地方の存在意義と将来について、都市への人材と農林水産物の供給という役割、その対応として資源(ヒト・モノ・カネ)循環型構造の構築の必要性を説明。
 リタイアした人間が住みづらい都市・住みやすい地方との視点から、地元に若者を留めるのではなく、一旦県外へ出てもらい、働き終えた後戻ってきてもらう。併せて、そうした人材を活用した地方の活性化など、積極的な人材の循環により、秋田自体をなんとかするのではなく、東京を助けて、その結果として人・金を地元に還元するという考えを提示。その対応策として、帰郷者の受入環境、帰ってきたいと思わせる秋田の土壌造り。本県出身者をターゲットとしたものではなく、その配偶者等(県外出身者)のニーズを満たし、夫婦で帰郷しやすくする効果的な整備が必要であり、そこから仕事も生まれてくるという視点が建設業に求められると述べた。
 講師の荒谷氏は秋田県比内町(現・大館市)生まれ。秋田高校、早稲田大学を経て株式会社東京商工リサーチ入社。秋田支店長、盛岡支店長、東北地区管理部長兼東北支社長を経て2003年6月取締役情報出版本部長。2007年6月退任し顧問に就任。
 著書として「やぶにらみ秋田経営風土記」、「おかめはちもく秋田経営風土記」(無明舎出版)「倒産しそうな会社が見る見るわかる」(共著・サンマーク出版)を上梓している。



その他
ワンデーレスポンス勉強会
 秋田県建設青年協議会(平野久貴会長)は秋田県建設業協会、秋田県土木施工管理技士会、秋田県建設技術協議会との共催により、1月31日、秋田県JAビルにおいて「ワンデーレスポンス勉強会」を開催し、東北地方整備局発注工事に携わる企業の経営者や現場代理人、また、県内発注機関から関係者約170名が参加。
 ワンデーレスポンスとは国土交通省が工事監督業務のひとつとして、工事受注者からの質問・指示依頼に対し、出来る限り「その日のうち」に解決するよう努力する。
また、その日のうちに解決できない場合でも、回答日を予告するなど、その後の段取りが出来るような何らかの回答を「その日のうち」にするという取組。
 勉強会では始め、柴田久秋田河川国道事務所長が「公共工事の改革の一例−ワンデーレスポンス−」と題して、公共工事の動向、発注者側における取組、ワンデーレスポンスにより期待される工期短縮などの効果を示した。また、対象工事における監督職員からのアンケート結果を紹介。説明の終盤では、事務所毎に設けられてる「工事執行相談室」を紹介。受注者の活用を求め、ワンデーレスポンスに当たっては、一人ではなく、チームで実行することが求められることを述べた。
 続いて、(株)ビーイング 取締役経営推進室長の岸良裕司氏が「三方良しの公共事業改革−利益を生み、人を育てる施工管理の実践」を演題に、クリティカルチェーン(CCPM)による工程管理と工期短縮の手法について講演。施工前の徹底的な打合せ・検討、各工程を圧縮することによる余裕を作り、それをプロジェクト全体で管理、工期短縮に繋げる手法について事例・具体例を示し説明した。
 事例紹介では、野口建設(株)(宮城県栗原市)の野口典秀社長から、実際の工事においてCCPMを導入・活用し、工期短縮を実現した過程と、目的意識の明確化、社員間のコミュニケーション向上など、ワンデーレスポンス実施の成果を紹介した。


県協会
人材確保・育成協議会を開催
推進方針、実施計画などを承認
 県協会では、平成20年2月21日(木)秋田ビューホテルにおいて、平成19年度秋田県建設産業人材確保・育成推進協議会(会長・川上洵秋田大学工学資源学部教授)を開催した。
 協議会には、業界や行政機関、教育機関の代表者などを含めた11名が出席。
 初めに、人材確保・育成推進協議会川上会長は、「建設業を取巻く環境は、耐震偽装問題等により建設に関する審査が厳格になったことによる住宅着工、大型物件の減少、公共事業の予算削減、アメリカ住宅の担保問題のサブプライムローン問題が日本の経済をゆるがす等、冷え切った状況が続いている。
一方、新卒者の就職状況は、団塊世代の退職による新旧交代の要因もあってか就職氷河期を脱したように思われる。以上のような背景をもとに、現状報告と今後の課題や長期的な展望などのご意見をいただきたい」とあいさつ。
 続いての協議では、雇用改善推進事業等の方針、実施計画について承認され、事務局は、今後の事業に反映していくこととした。
 また、意見交換では、▽企業の新規学卒者採用を促進する評価制度の検討▽県内就職希望の新卒者、Aターン希望者に対する県の受け皿拡充対策▽資格試験受験者送迎に対する助成などについて出席者より意見が述べられた。