会長の言葉

東北建設業協会ブロック会議 会 長 菅原 三朗

 平成19年度東北建設業協会ブロック会議が10月31日盛岡市で開催された。
 今年度の提出議題は、東北地方への公共事業予算の重点的配分から、新たなビジネスモデル検討のための人材育成まで11項目である。秋田県建設業協会からは「建設業の生産性向上による業界の活性化について」を要望した。
 建設業のみならずあらゆる産業において、企業は社会の公器としてその使命を果す責任がある。建設業であれば社員の生活の向上をはじめ、下請や資材業者等との適正な契約の締結をはじめ、納税義務の履行や社会貢献活動の要請などがある。そのような経営活動の中において、企業倫理やコンプライアンスが求められているわけである。
 これらの使命を果たすためには、その大前提となるのはあくまでも適正な利潤を確保し、納税をし、エンドユーザーに対して「バリューフォーマネー」を提供することである。しかし地方中小建設業界を取り巻く現状は、公共事業の激減による全くの供給過剰構造であるにもかかわらず、抜本的な入札・契約制度を改革することなく、発注者の責任回避のための小手先だけの対応により、低価格受注が激増し業界は疲弊し経営の悪化や工事の品質確保に重大な危惧を抱かざるを得ない状況である。
 完全な談合への決別とダンピング排除のためには、08年度の「品確法」の見直しを契機として、地方自治体においても公正で眞当な競争によって品質確保の出来る適正な価格で落札出来るよう、抜本的な調達制度の確立を切望し大いに期待をいたすところである。

 しかしながら生産性向上のためには、仮に適正な価格で契約が出来ましても更に工事の執行に際して、設計図書の不備や責任範囲の不明確性など、多くの不適切な例が見られ収益性を更に悪化させている。そこで生産性向上のためにはその「システム」の改革が絶体に必要である。
 つきましては工事発注の平準化と合わせて、次の事項について改善されるよう要望をいたしたい。一つには受注後の照査について請負者に過度な対応を強いることのないようにされたい。次には適正工期の設定をはじめ、適切な施行協議、適切な変更契約が確実になされるよう、管理・監督体制の充実強化を図り、請け負け業という片務性を完全に排除されたい。更に今盛んに言われております「ワンデーレスポンス」いわゆる現場の問題発生に対する迅速な対応である。お互いに設計思想を共有し、発注者・設計者・施工者の役割・責任分担を明確化する「三者協議の場」の活用を是非義務化をしていただきたい。
 以上であるが業界を単に規制の対象としてばかり見るのではなく、お互いに「バリューフォーマネー」実現の為のパートナーと位置づけ、生産性向上による建設業界の活性化が図られるよう、発注者としての適切な対応をされるよう強く要望した。