会長の言葉

福祉から雇用へ 会 長 菅原 三朗

 政府の「成長力底上げ戦略構想チーム」が2月15日にまとめた、基本構想で障害者や生活保護・母子世帯などの就労支援が柱に挙げられた。公的扶助(福祉)を受けている人の就労を促す「福祉から雇用へ」推進5ヶ年計画を策定・実施することや、授産施設などで働く障害者の工賃水準を引き上げる「工賃倍増5ヶ年計画」などに取り組むとしている。
 障害者など経済的自立(就労)を目指しながらもその機会に恵まれない人を対象にした「就労支援戦略」、又母子家庭の母親やフリーターなど職業能力形成の機会に恵まれない人達を対象とした「人材能力戦略」、更に生産性の向上や賃金の底上げをしようとしているが、その機会に恵まれない中小企業を対象とした「中小企業底上げ戦略」の三本柱からなっている。
 このうち就労支援戦略は、公的扶助を受けている人の就労を促すもので「福祉から雇用へ」推進5ヶ年計画の策定・実施。及び「工賃倍増5ヶ年計画」による福祉的就労の底上げに取り組むものである。
 「福祉から就労へ計画」は、障害者や生活保護・母子世帯の就労移行に関する5年後の具体的な目標を設定。希望者への就労支援と企業側の受入れ促進の両面からの取り組みを進める。


 具体的施策としては、障害者就業・生活支援センターの設置(400ヶ所)。各省庁などにおける「チャレンジ雇用」の推進。障害者就労移行支援事業の全国展開及び生活保護就労支援プログラムの全自治体での策定。マザーズハローワークなど子育て女性支援拠点の全国展開。ハローワークの就労支援チームの体制強化。障害者雇用推進法の整備。更に関係者の一層の意識改革。などを行うこととしている。
 「工賃倍増計画」は授産施設や作業所で働く障害者の工賃水準を引き上げるとともに、一般雇用への移行準備を進める。その為2007年度中に全都道府県で工賃倍増計画を策定し、関係行政機関や商工団体などの協力の下で取り組みを進めるとしている。又倍増を目指す上で仕事の受注や商品開発・市場開拓などが課題となるが、企業OBなどを活用し経営手法を取り入れたり、作業能率向上のために環境を改善したり、企業からの仕事の発注を奨励したりする、としている。実功ある推進を期待したい。