文化遺産
No.52
玉川橋
大仙市花館・神宮寺字間倉

近代文化遺産

 玉川の下流部、雄物川との合流点付近にかかる玉川橋は国道13号の道路橋である。この橋の沿革は明治初期にさかのぼる。明治14年(1881年)の明治天皇東北御巡幸に合わせてその前年に完成したのは仮橋であった。それが4年後の大洪水で流失したため明治22年(1889)に全長360間(約425m)の長い木橋が架けられることになった。その長い橋は当時、全国一長い木橋として話題になったという。元来、玉川は大渡し船場と小渡し船場の二つがあって玉川と大戸川の2河川を渡らなければならなかった。橋はその二つの川を一気にまたぐ形になった。

 その後、昭和7年(1932)8月には、木橋に代わって鉄筋コンクリートの永久橋が完成した。この橋は全長632m、幅員6・52m、総工費42万円で、これも全国に誇るモダンな橋であった。この永久橋が現在の道路橋の下流側に残る歩行者と自転車しか通れない古い橋である。現在、工事が進められている新々玉川橋の完成に伴ってこの昭和の遺物は取り壊される運命にあるという。橋に限らず、近代化遺産は「解体」という宿命からは逃れられないもののようである。
 昭和47年(1972)にすぐ上流に現在の道路橋の元となっている鉄骨製の新玉川橋が完成した。それは旧国道13号バイパス開通と同時に建設されたものである。しかし、交通量の増加の波はますます高まりを見せ、渋滞緩和のためにさらなる改良の必要性に迫られている。現在、国道13号大曲バイパスの4車線化に伴って、新しい2車線の橋を並べるように建設、新しい道路橋が完成の見込みである。玉川と雄物川の合流点付近は、姫神山や神宮寺岳、伊豆山など、いわゆる大曲の西山連山として地域のシンボル的景観となっている。こうした自然環境と災害防止、交通の利便性、相反する要素をどのように折り合いをつけていくのか注目されるところである。

(取材・構成/藤原優太郎)