会長の言葉

新・八郎潟産つくだ煮
地域ブランド展開
会 長 菅原 三朗

 商工会が地域の小規模事業者と協力して、全国規模のマーケットを狙った特産品開発や販路開拓に取り組む事業を支援する、全国商工会連合会の新補助事業である「小規模事業者新事業全国展開支援事業」の募集を受けて、昭和飯田川商工会では当地域の特産品であり産地集積もある「佃煮」にスポットをあてた「新・八郎潟産つくだ煮地域ブランド展開」の事業計画案により応募し、これが採択決定された。
 同商工会では事業の着手にあたり、より事業効果を高めようと各方面の専門家を含めたプロジェクト委員会を設置し、更に専門事項を調査研究するため「商品開発委員会」「販路開拓委員会」「ブランド設計委員会」の3つの専門委員会を設置している。
 八郎潟産つくだ煮の生産は八郎潟の恵まれた漁場を背景にして、明治20年代から続いてきた歴史ある佃煮の産地である。しかし八郎潟の干拓による漁獲量の減少で、生産業者は半減したものの現在も11社のつくだ煮業者があり、特にわかさぎは全国有数の漁場である。わかさぎやハゼのつくだ煮は干拓前は全国で20%程度のシェアがあったが現在は10%程度と想定されている。業界での全国的な評価はあるがメーカーへの納入がほとんどであり、製造業者としてのポジションにいるため一般消費者との接点が少なかった。そのため「八郎潟産つくだ煮」の独自の価値を打ち出しにくく、つくだ煮の産地としての長い歴史・技術・ノウハウという産地としての優位性を生かしきれてこなかったのが実態である。


いま全体的に消費が伸び悩んでいるつくだ煮業界の中で、需用を拡大し将来的に安定した市場を確保していくためには、他の商品との差別化を図り市場での優位性獲得が不可欠である。そのためには「八郎潟産であることをブランド価値(魅力)として確立させる」ことであり、地域の生産業者がひとつにまとまり「ブランド価値」を確認し、商品開発・販路開拓・プロモーション等を展開することにより、「八郎潟産」の市場価値を創り上げていくことが出来る。そしてこれが八郎潟周辺地域という産地全体の活性化にもつながっていくものと思う。
 具体的な新商品の開発は新しい「八郎潟産つくだ煮」の誕生であり、健康指向のつくだ煮・安全安心を保障するつくだ煮、原料・食品添加物など食に対する不安を取り除いたつくだ煮、カルシウム・セレニウム・ビタミンE等豊富な栄養素をアピールし、健康増進のために「スナック的感覚」でつくだ煮を食べていただく。次にテストマーケティング・調査により意見要望を収集・アンテナショップや消費者モニター等現代の消費者の嗜好・ニーズを反映させた商品開発が必要であり、直販チャンネルとしてファーストフードや販売店を開拓、ご飯のおかずではなくおやつ感覚で食べていただく「スナック需用」を目指している。
 このように八郎潟産のつくだ煮として「地域ブランド化」していくために「新商品開発」「直販のための販路開拓」「ブランド化のためのコミュニケーション展開」等の具体化が必要であり、この事業の成果が期待されるところである。