会長の言葉

全肢連全国大会 会 長 菅原 三朗

 全国肢体不自由児者父母の会連合会(全肢連)の全国大会が、今年度は東海北陸ブロックの担当で、6月17日(土)18日(日)の2日間に亘って石川県金沢市の「石川県立音楽堂コンサートホール」において開催された。
 障害者福祉のあり方を全面的に見直した「障害者自立支援法」が実施されていく今、全国から約1,000名の会員と関係者が一堂に会し、より障害の重い者達のより豊かな社会参加の実現を目指した福祉環境の確立と福祉制度のあり方や父母の会活動等について熱心に討議した。
 3年前、行政がサービスを提供する「措置制度」から、利用者自らがサービスを選んで事業者と契約する「支援費制度」に移行したが、国の利用者見込みを大きく越えた利用者の急増で財政は悪化し、又基盤整備の遅れと地域格差も否めず、国は施行後わずか1年で介護保険との統合や今後の障害保険福祉施策の、グランドデザインを示唆し新法制度へと動き始め、示唆されてから半年足らずで国会上程となったが、審議中に郵政法案否決で国会解散のあおりで廃案となり、その後衆院選挙での自民党圧勝を受け、「障害者自立支援法」は特別国会に再提出され可決・成立となったがこの1年間、障害者の福祉よりも財政施策優先の猫の目行政に大きく振りまわされることとなった。
 「障害者自立支援法」の施行により、障害種別ごとに分かれていた障害者福祉制度や施設体系等による施策が複雑との批判があったものが見直され、制度の対象外であった精神障害者も同じ制度を利用できるようになったのは利点の一つと言われている。

 しかし障害程度区分の導入や施設・事業体系の再編による影響がいまだ未知数である。また3年間の経過措置として負担軽減が示されてはいるが、利用者の所得による応能負担からサービスごとに原則1割負担とする定率負担への移行は、重度障害者の切捨てにつながるわが国の福祉政策の誤った転換を強く印象づけ不安をぬぐい去ることができない。また独自の軽減措置を行う自治体もあり、更なる地域格差が生じ始めている。
 経済事情が「自立」を阻むとしたら、制度の大義名分は完全に崩れ去る。3年後の制度の見直しに向け、介護保険との統合や扶養義務、所得保障等を含め、問題・課題を詳しく検証して敏速早急に対応していくことが絶体に必要であり、今回の大会でもこのことが強く打ち出された。
 父母の会活動も、地域での運動の重要性とともにその存在意義が益々問われてきている。会員や障害者のニーズを集約し、行政に対して粘り強く運動を行っていくとともに、障害の重い者達も誰もが生きがいを持ち、安心した地域生活を送ることができる環境整備の実現のため更なる活動を展開していくことの重要性を痛感した。