会長の言葉

「品確法」の促進を 会 長 菅原 三朗

 国内景気の着実な回復とは裏腹に、地方の建設業界を取り巻く環境は、止まるところを知らない公共事業の削減が続く中、事業量不足と供給過剰構造によるダンピング受注競争が続いており、経営環境は危機的な状況が続いている。
 秋田県における県発注工事の実績額は、平成7年度から12年度までは2000億円を超える水準で推移し、平成10年度には約2509億円に達したがその後縮小し、平成16年度は約1460億円と、わずか6年間で1000億円以上減少している。また平成16年度の格付業者数は、建設投資のピーク時より上回っている状況にあり、これが事業量不足と供給過剰構造の実態である。
 今後、事業量はどこまで削減が続くかわかりませんが、国の政策が公共事業は不用であり、社会資本整備も必要ではないと言うことで、政治も・地方行政も・国民世論も、それでよいということであれば致しかたないところである。しかしそれでは住民の安全・安心も今後の地域の発展も望めないのではないだろう。
 地方建設業は地域の基幹産業として、県民総生産において、雇用率において、更には地域経済の活性化において、それなりの使命を果しており今後とも地域の振興発展に貢献していこうと、大いに意欲を燃しておるところである。
 県発注御当局におかれても、構造改革による規制緩和と野放し状態の市場原理による、ダンピング競争を看過することなく建設業界の多年の念願であった「公共工事の品質確保の促進に関する法律」も成立、昨年4月1日より施行され8月26日には「基本方針」も閣議決定がされており施行後すでに一年を経過している。

「佛作って魂入れず」ではなく、発注者の裁量と運用の仕方によって、価格と値引き競争から価格と品質で総合的に優れた「様々な調達方法」がいくらでもある筈であり、我々業界も正しい競争が出来るのであれば、ハードルを高くすることは甘受する覚悟であることは言うまでもないことである。
 これまでも、低入札価格調査制度の運用の見直しについて、応募者全員指名ではなく一定の参加要件による「絞り込み」を行うことや、失格基準の導入や、低入札による落札者への「三点セット」の導入や、入札参加者自らの積算を促すための「予定価格の事前公表の廃止」等も提言してきたところである。総合評価方式等による「新たな入札・契約制度」の全面的な執行を早急に実施されるよう、協会・全会員挙げて切望致しておるところである。
 今こそ発注者責任を発揮され、今後はダンピングをやっても仕事は取れない、だからといって読合の必要も感じない正しい競争によって「技術と経営に優れた企業」が生き延びられるような、競争環境づくりを進め疲弊した本県建設産業の健全な発展のため、強力なご支援をお願いするところである。